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[シナリオ]Turning Point 飲食編203 「新たな観光スポットで役に立ちたい」

2018.07.15

「新たな観光スポットで役に立ちたい」

 

株式会社主婦の店高山店(高山市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

外国人で賑わう高山市内に、最近話題のスポットが誕生した。近年400万人もの外国人観光客で賑わう高山市内も、昼の賑わいとは一転して、夜になると静まり返ってしまうのが課題だった。そこに、外国人も高山市民も分け隔てなく交流できる、賑わいあふれる屋台村「でこなる横丁」ができたことで、注目の的となっている。

順次出店がなされている状況の中、3/18(金)にはグランドオープンが行われた。平成27年9月に出店第一号として開店したのは、飛騨とらふぐと天ぷらの寿天。旅館の料理長をしていた店主の井上さんは、自分の店を持ちたいという夢を実現しようと、勇気ある出店を決断し、開店早々から毎日、店内は賑わい溢れている。

ユニークな店主としては、ハワイから移住した日系人のミギタさんがいる。ハワイのボディビル・チャンピオンという風貌とは似合わず、繊細な味付けは日本人にも外国人にも大好評だ。また、屋台村に来たお客さんを飽きさせないようにと、射的場や手裏剣道場なども設営されており、賑わいあふれるナイトスポットとなった。

2.由 来

でこなる横丁を運営するのは、主婦の店高山店社長の伊藤通康さん。伊藤さんはかつてこの地で、その名が示す通り家庭の主婦を対象としたスーパーマーケットを経営していた。しかしながら、多店舗展開する大型店やコンビニエンス・ストアの高山出店によって競争が激化し経営が圧迫され、業態の転換を余儀なくされたのだった。

高山にスーパーマーケットを創業したのは昭和38年、伊藤さんの祖父の時代だ。その後、父親が事業を引き継いだ頃には、高山市内に4店舗のほか、神岡町や古川町にも各一店舗営んでいた。大きな変化の第一波が起きたのは平成7年、ディスカウントストアブームの到来で、低価格販売の強化から効率を重視して店舗を集約した。

それに追い討ちを掛けるように大型店やコンビニの高山出店ラッシュが始まり、ボーダーレスの低価格競争が激化した。たまごや牛乳を1円で販売するなどして人気を獲得したこともあったが、際限のない低価格競争で疲弊し、高速道路の充実やインターネット販売の発展から、自社の優位性の発揮ができなくなってしまったのだった。

3.本 題

伊藤さんは平成14年に結婚して以来、自社の特長を出せる店舗展開は何かと思い悩み続けた。生産者直売所を開店することも考えたが、スーパーマーケットの延長では、どうしても生き残れないと悟る。そして、食の専門店で新しい価値を生み出し、生まれ育った高山市に若い力で今までにない新しい風を吹き込みたいと考えるに至った。

平成26年2月には主婦の店高山店の店舗を閉鎖し、スーパーマーケットから撤退した。会社の規模を縮小し、業態の転換を余儀なくされる中、小さなお店でも光が当たりやすい、夢に向かって目が輝いている人々の活躍の場を食品関連で作りたいとの思いから、屋台村構想を自社の新たなステージとして再出発することを決意をした。

スーパー閉店後の辛く厳しい日々を乗り越え、話題となっている屋台村を視察して周った。そして、夢や志を持つ人たちを応援する場を作ろうとの思いを強くし、事業として実際に展開していくことを決断したのだった。それは、福井県にある芦原温泉の屋台村、湯けむり横丁で事業リーダーである藤田さんとの出会いがきっかけだった。

4.解 説

地方のスーパーマーケットなどの小売店は、大手量販店やコンビニエンスストアの進出、また激しい安売り競争で疲弊し、経営が難しい状況にあります。買うお客様にとって安いことはとても良いことですが、商品を提供する側にとっては、事業として採算が取れなくては、存続していくことができません。

ご覧戴いた伊藤社長は、逆境をバネに、夢に向かって目が輝いている人々の活躍の場を作りたいと考え、賑わいあふれる屋台村の経営に乗り出しました。住む街や人の役に立ちたいとの想いから、柔軟な発想で環境の変化に適応し、今までにない観光スポットを作ろうと奮起したことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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