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[全文掲載]書籍「岐阜発 イノベーション前夜」執筆を通して考えたこと(5)

2020.12.10

書籍「岐阜発 イノベーション前夜」執筆を通して考えたこと

(日本生産性本部茗谷倶楽部会報第78号寄稿文)

5/6

三輪知生(経営塾2期)

書籍のターゲット・コンセプト・内容の紹介

書籍の企画書が確定したのは、企画会議のスタートから4ヶ月経過した7月末でした。主たる読者ターゲット層を「地方で事業をする二代目、三代目の中小企業の前向きな経営者」に設定しました。また、「その背中を押したいと支援しているが、過去の経験から判断してしまい、明るい未来への方策が見出しきれていない金融機関や行政の人たち」をサブターゲットとしました。さらに、「イノベーションを先導しているかに見える大企業も、小さいながらも小さいなりに努力を重ねる中小企業に学んで欲しい」とのメッセージも込めることとしました。

10事業者の事例紹介については、前述のテレビ特番で紹介した中小企業36社のうち8社(飲食業・小売業・卸売業・製造業の各2社)を選定し、外部環境の変化などにより苦境に立たされながらも、新たな商品・サービスの創出に成功した先行事例として紹介しています。また、地方創生をテーマとした2事業者(DMO・まちづくり会社)の取り組みを新たに取り上げることとしました。国が主導して民間活力で推進している地方創生ですが、そこにはどのような苦悩があり、どのように克服して解決策を導き出しているのかについて言及しています。

自論の展開となる第1章と第2章については、事例紹介の10事業者を全て書き終えてから、それらとの整合性がつくように、そして総括となるように執筆することとしました。その内容は、企業支援を進める中で実施してきた研修やセミナー、ワークショップで伝えてきたことを改めて俯瞰して、包括的に取りまとめて書き綴ったものです。根幹を成すメッセージは、誰もが「イノベーション」の意味は漠然と知っていても、その実現はうまくいかないもの。どのように阻害要因を排除して実現していくのかについてヒントを示したい、というものです。

仕事を終えた後に、スターバックスコーヒーやコメダ珈琲店などで執筆を進め、脱稿まで約4ヶ月を要しました。表紙のデザインには、「岐阜」「前夜」のキーワードから岐阜の夜景が良いと決まり、自分で撮影した写真を採用してもらうこととしました。本書は人に焦点を当て、その取り組みをストーリーで詳述しています。読み手の共感を得て手本となるように、また、地方創生やイノベーションのガイドラインとなり、啓発書となることを趣旨として執筆しました。では、文末となりましたが、書籍の章構成ならびに概要をご紹介したいと思います。

(6)へ続く