News

ニュース

[シナリオ]Turning Point モノづくり編206 "現状を打破する積極性"と"女性の力"で業績アップ!

2018.07.06

"現状を打破する積極性"と"女性の力"で業績アップ!

 

有限会社岐南カレンダー(岐南町)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

「いいこよみドットコム」社名入りカレンダー・名入れカレンダー専門店として、年間4000万円以上の受注につなげているホームページがある。分かりやすいメッセージが高い売上を誇る秘密のようだ。開設以来、徐々に受注件数は増加傾向にあり、現在は売上全体の4割を占めるに至っている、事業の大黒柱だ。

印刷業は昨今、デジタル化の波に押されて印刷物が減少したこと、価格体系の透明化で低価格競争が激しくなったこと、インターネット経由の低価格受注合戦が繰り広げられているなど、激しい逆風に見舞われている。「いいこよみドットコム」を開設する岐南カレンダーも御多分に洩れず、受注量を減らし続けていた。

笠松町で購入品のカレンダーに人海戦術で名入れ作業をする当社にとって、作業の合理化には限界があり、また自社商品としてカレンダー自体から印刷することは設備投資を伴い困難な状況にある。また、近隣の商店との既存取引が減る中、インターネット経由での全国展開は、限られた事業発展の貴重な機会であった。

2.由 来

1967年に現社長の父親が創業した岐南カレンダーは、名入れしたカレンダーやタオルの印刷・販売を行っている。当社の主力商品である贈答用の名入れカレンダーは、従来の主な顧客である地元商店が経営者の高齢化や、大手量販店の進出などにより相次いで取引先が廃業、毎年受注が減少し続ける状況が続いていた。

このため、2007年にネット通販による新規顧客の獲得を目的として、自社ホームページでの告知と問合せ窓口を開設したが、手探りの自作であったため、当初はなかなか成果を上げることができなかった。また、カレンダーの需要は年末に集中し、季節による受注量の差が激しいという業種特性が頭痛のタネであった。

先代社長の既存顧客を引き継ぎ、そのルート営業に奔走する社長を献身的に支えていた恵美さん(奥様)は、次第に減りゆく売上高に危機感を感じホームページでの受注に乗り出したのだった。スタートしたものの成果が得られないと、公的な支援機関(ソフトピアジャパン)に応援要請してリニューアルに乗り出した。

3.本 題

自社の強みは「印刷工場直販によるローコスト」と「リピート率90%以上の定着率」にあると見極めて、そのメッセージを明確にホームページ上に打ち出し、新規顧客が安心して注文できるような分かりやすい見せ方に注力した。また、顔が見える方が安心できると社長自らも登場し、新たな顧客獲得につなげている。

また、受注量の季節変動が激しいことに対しては、早期割引サービスを始めるなどして繁忙期の集中を回避。このことは、女性のパートタイマーが主力の当社にとって、年間で安定した仕事量の確保と雇用の維持につながっており、女性ならではの配慮として従業員からの高い支持を受け、やる気の創出につながっている。

既存顧客の受注量と同等の売上を誇るまで至ったインターネット経由での受注に油断することなく、新規事業を立ち上げようと立体物にも印刷できる特殊印刷機を導入。商品開発やマーケティングのセミナーに参加して情報収集に努めるなどしながら、新たな柱となることを期待してオリジナルの新商品を試作開発中だ。

4.解 説

仕事の多くの部分を機械設備に依存する印刷業は、デジタル化の大きな波に押され、技術面での能力格差が広がり、激しい逆風に見舞われています。また、インターネット経由での受発注が普及して、価格やスピード面での競争が激しくなり、中小規模の印刷会社の多くは苦境に立たされています。

ご覧戴いた高橋専務は、自社の強みを見極めて、的確な情報発信と柔軟な勤務体制によって、次第に落ち込む業績をカバーすることに成功しました。環境の変化に立ち向かい、働きやすい職場から女性の力を引き出して、業績向上に挑戦し続けたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

→ 番組制作のお問い合わせはこちらから ←