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[シナリオ]Turning Point モノづくり編101 "逆転の発想"で大ピンチをチャンスに!

2018.07.23

"逆転の発想"で大ピンチをチャンスに!

 

有限会社ミサト工業(郡上市)

[全文公開]番組シナリオ

1.背 景

天然資源の調達を海外に依存するわが国は、外貨を獲得するために自動車や家電製品を国内で生産して海外に輸出することで、第二次大戦後復興し隆盛を極めてきた。それを下支えしてきたのが全企業数の実に99.7%を占める中小企業である。

高度経済成長を実現したわが国は、その後バブル経済を崩壊させた。一方グローバル経済の進展から国際競争が激化し、大手メーカーは生産地を海外へ移転。かつて繁栄した日本経済の成長モデルは崩れ、中小企業そして地方は疲弊している。

ミサト工業は郡上市美並町で自動車部品メーカー(大同メタル)の協力工場として、精密加工部品を造っている。プレス機やNC旋盤などの金属加工設備を複数台有する、典型的な日本のモノづくりをこれまで支えてきた下請中小企業である。

2.由 来

1969年に創業したミサト工業は高度成長の波に乗り、自動車部品メーカーの協力工場としてわが国がモノづくり立国となる礎を築く役割を果たして成長を遂げてきた。大手メーカーの海外生産の荒波の中でも踏み留まり国内生産を続けてきた。

しかしながら2008年にリーマンショックに直面し次第に仕事が少なくなり、一時は7割減と惨憺たる状況となった。このままでは会社の存続が困難になるとの危機意識から、川嶋成樹社長は自ら仕事を探すため東奔西走する日々がはじまった。

そうした中、何とか自社のオリジナル商品は造れないものかと暗中模索し始め、そのタイミングで出会ったのが関市で部品加工業を営んでいた道家剛史さん。同じ様な境遇から共鳴し、商品開発に向けてともに力を合わせていくこととなった。

3.本 題

新しい商品はできないものかと思案を重ね、これまでに培ってきた関の刃物の技術から新しい毛抜きを造ろうということに。そこでデザイナーである鷲見栄児さんに依頼し、女性に使いやすい機能をもった毛抜きの開発がスタートすることに。

刃先を丸くすればどの方向からもつかむことができるし、直接肌に触れる部分は丸い方が痛くなく、お肌に優しい。そうしたアイデア発想から形状が決まり、新たな機能を製品として実現するのに役立ったのが、ミサト工業の精密加工技術だ。

鍛造プレスによる精密加工はミサト工業のお家芸。2009年3月に聞いた開発話からたった3ヶ月で量産体制を整え、パッケージも決まり、晴れて自社製品を世に送り出すことが実現した。ネット販売からスタートし今では百貨店でも人気商品に。

4.解 説

日本のモノづくりを支えてきた中小企業は、苦境に立たされています。自動車や家電メーカーが工場を海外にシフトしたことで、仕事量が減ってきたことによります。中小企業の経営資源は限られています。足りない要素は他社との連携で補い、自社商品を開発するなど、経営方針を転換する必要性に迫られているのです。

ご覧戴いた川嶋社長は仕事が激減する中、何とかしようと積極的に動き、二人のキーパーソンとの出会いから、オリジナル商品を開発する機会を得ました。環境の変化に適応し、ピンチをチャンスに結びつける逆転の発想で運命を切り拓き、決してあきらめない執念を持ち続けたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。

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