"突き抜ける発想"で廃業危機から復活!
株式会社豆の匠中島豆腐(中津川市)
[全文公開]番組シナリオ
1.背 景
値段は高いが世界一美味しいと評判の豆腐が、百貨店やサービスエリアでヒット商品となっている。スーパーマーケットでは価格の優等生と云われ、一丁100円程度で売られている豆腐だが、その豆腐は500円~800円台で売られている。
パッケージも朱色を基調とした鮮明な印象で、プラスチックの容器に入れられた姿からは、スーパーマーケットで売られているものと同じ、豆腐であるということが想像しがたい、明確なメッセージや熱い想いが込められた商品となっている。
(スーパーマーケットで売られている豆腐は、低価格競争から豆乳の濃度を極限まで薄くすることを余儀なくされ、透き通るほどとなるので乳白材で白くしなければならず、にがりでは固まらないので凝固剤で固めているという現実がある。)
2.由 来
中津川市は東濃地方に位置しており、霊峰恵那山の麓で湧き出る伏流水や綺麗な空気といった豊かな天然資源に恵まれており、栗きんとん発祥の地とも云われ、馬籠宿や付知峡などの風光明媚な観光地も多い。
豆の匠中島豆腐は1949年(昭和24年)創業で、豆腐を製造販売している。小さな食材店や自転車での販売から始まり、スーパーマーケットでの取り扱いが始まった頃から次第に売り上げが伸びていった。
しかし、効率と低価格を求めるスーパーマーケットの売り場からは、次第にコストダウン要求が厳しくなり、原材料費も高騰する中で、大型量産設備を持たない中島豆腐は寝る間も惜しんで働いても利益が出ない状況に。
3.本 題
値段競争に四苦八苦し、何のために豆腐をつくっているのか分からなくなってしまった状況から、原点に立ち戻り本物のこだわりの豆腐を作って消費者に届けよう、スーパーマーケットとの取引を断ち切ろうと社長は決断する。
そうはいっても、なかなか本物の豆腐作りは上手くいかない。そして出来たものの価格が高くなってしまい、全く売れない状況が続いた。そこに現れたのが、自社の菓子に適した豆乳を探していた恵那川上屋の鎌田社長だった。
こんな美味しい豆乳はないと即購入を決定、豆腐も絶品との評価で恵那川上屋の軒先で販売することが決定。また、鎌田社長の紹介で百貨店での販売も決まった。この出会いがきっかけとなり、起死回生のヒット商品となった。
4.解 説
企業が売り上げを伸ばそうとすると、まず第一に大型の設備を導入しようと考えます。そして大量に生産し、スーパーなどの量販店で数多く売り抜こうとします。しかしそれでは、「借金の返済」「原材料費の高騰」「低価格競争」の三重苦に陥ってしまいます。また、在庫を抱えたり売れ残りで必ず苦労します。
ご覧戴いた中島社長は逆境を打開するために、徹底したこだわりと突き抜ける発想で、価格の優等生と云われるお豆腐を高級路線に転換する決断をしました。そして、恵那川上屋鎌田社長との出会いをきっかけに販路を開拓し、想いを伝えるために自ら販売に出向いたことが、成功への分岐点になったと云えるでしょう。
完