書籍「岐阜発 イノベーション前夜」執筆を通して考えたこと
(日本生産性本部茗谷倶楽部会報第78号寄稿文)
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三輪知生(経営塾2期)
情報発信は起承転結が正しいのか?
私たち日本人が情緒的で、論理的思考が弱いと国外の人々から指摘される所以はここにあると永年信じてやみません。このことを私は、アメリカ留学時の英作文(ライティング)の授業で気づきました。それ以来、文章を書く上での企画構成やパラグラフ、そして口述して伝えるためのプレゼンテーションスキルについて、重要性を強く認識し続けてきました。会社員時代にはメーカー担当として、そして商社マンとして海外で外国人相手に情報を発信し、契約締結に至る経緯でそのスキルを向上しました。情緒的であっては、契約の締結には至りません。
地元で企業支援を開始する際には、情報発信の媒体となる新聞社や雑誌社、テレビ局などのメディア企業との関係構築を進めました。記事や番組に企業が取り上げてもらうには、何が必要かを深く知るためです。その経緯では、インターネットの普及によって次第に読まれなくなりつつある新聞の販売促進に関するコンサル案件にも関わり、当社の社名(東海クロスメディア株式会社)の「クロスメディア」の命名に至ります。新聞も紙媒体に限定されていては早晩終焉を迎えてしまうという危機感から、情報は媒体を横断的に発信すべしという意味です。
テレビ番組は、夕方のニュース番組で企業が取り上げられるように、番組企画やシナリオを書いてテレビ局のディレクターや制作会社に持ち込みました。のちに商品開発の支援で販売開始とともに10ヶ月待ちのヒット商品をプロデュースできたのも、メディア企業との関係構築があってのことです。また、この経緯では自社も取り上げてもらう機会が生まれ、知名度や信頼性が高まりました。さらには、地方局(岐阜放送)において三年間に渡って月一回の特集番組枠(15分)を預かり、合計36社の中小企業を紹介する機会を得ることができました。
ラジオ番組でも「教えて!三輪先生」という冠番組(30分の対話形式)を毎週担当する機会を得て、(雑誌でも取り上げられたことで)網羅的にクロスメディアで情報を発信し続けてきたのです。2018年に改めて生産性本部で地方創生を担当することとなりましたが、これらの実績が認められ、経営コンサルタント塾からのご縁である会員サービスセンター高松克弘部長からお声掛け戴き、生産性新聞での記事連載と書籍出版の機会を得ることができました。企業支援の手段として始めたメディア戦略が、当社の情報発信としても大いに役立ったのです。