事業の成長を妨げる３つの壁
これまで６回に渡り、創業に際して誰もが突き当たる３つの壁についてお伝えしてきました。
今回からは、事業の成長を妨げる３つの壁についてお話ししたいと思います。
企業が「現実の壁」、「資金の壁」、「市場の壁」を乗り越え、成長の糸口を見出しても、そこに立ちはだかる壁がまた存在するのです。
そのうち一番初めに突き当たる壁は、自分が知らないからできない、相手が知らないから売れないといった「知識の壁」です。人は過去の知識や経験をもとに判断しがちであり、新しい物事にはよくあることですが、精神的な抵抗が伴ってくるものです。そのため、全く新しい商品やサービスが、なかなか普及しないといった問題が出てくるのです。
前回に引き続き事業の成長を妨げる３つの壁のお話です。
１つ目の壁は知らないことによる「知識の壁」でした。そして次にやって来るのは、苦手であるとか、気が向かないなどといった「意識の壁」です。これは人の心の中に存在するブレーキであり、精神的な抵抗です。
人は何か変化を感じた時、生命を維持するために恒常性維持（ホメオスタシス）という機能が働きます。人体の内部や外部環境の変化に対して、本能的な働きとして、「ある一定の範囲に保とうとする」のです。これによって、それまでと違うことは「異常値」として排除しようとしてしまうのです。
過去の苦い経験から否定的に判断してしまうというのも「意識の壁」の一つなのです。
今回のお話は、事業の成長を妨げる３つの壁の最終回にあたります。
知らないなどの「知識の壁」、苦手などの「意識の壁」を乗り越えてもやってくるのは、前例がないとか、責任が持てないなどといった「組織の壁」です。これは組織内に存在する変化を嫌う風土や文化です。
時代の移り変わりが激しい今日においては、伝統を守るためにも変革は必要なのですが、保守的、硬直的といわれる組織風土が根づいている企業や組織では、それまでのやり方を受け継いで、その通りにやることが自己目的化してしまい、変化を嫌います。これが事業の成長を大幅に妨げるのです。
このように、事業の成長を妨げる制約条件として、３つの壁が大きく立ちはだかっているのです。
これまで、事業の成長を妨げる３つの壁として、「知識の壁」「意識の壁」「組織の壁」をお伝えしてきました。では、どうすればこれらの壁を乗り越えていくことができるのでしょうか？
その答えは、日頃の物事に対する考え方、対処の仕方について発想の転換をすることにあります。現状の課題を洗い出して解決に導く「問題解決型発想」は、モノづくり企業を中心に改善活動として定着しています。
一方、人の心の中では「現状を維持したい」という本能が働くことは以前のコラムでもお伝えした通りです。
成長の妨げとして大きく立ちはだかる３つの壁を乗り越えるには、「将来のあるべき姿」から考え、計画して行動する「未来志向型発想」に転換する必要があるのです。
成長の妨げとして大きく立ちはだかる壁を乗り越えるため、将来のあるべき姿から考えて計画し行動する「未来志向型発想」。そこで必要なことは、明るい未来に対して「希望」を持つことです。
企業経営において、経営者が明るい未来を描けなくては事業の成長は見込めません。また、より高いレベルで希望を持つことで、目標達成する可能性は高まります。
ここでの「希望」とは「望ましい結果が得られることへの期待感」と言い換えることができます。その結果を得るためには、「明確で具体的な目標」、「問題解決能力」、「自信」の３つの要素が必要となります。どこへ向かうのか、何が課題なのか、そして実現することに肯定的であるか、これら３つがそろって初めて、「未来志向型発想」は成就するのです。