"顧客視点"のこだわりで国内シェアトップ!
株式会社トイファクトリー(可児市)
[全文公開]番組シナリオ
1.背 景
ここは瑞浪市にあるオートキャンプ場。中央道土岐ICから約10分と便利な場所にありながら、広々として緑豊かでよく整備された快適に過ごせるフィールドだ。その名を「TOYの森」と云い、可児市に本社のあるキャンピングカーメーカーのトイファクトリーが直営する、ユーザー限定のキャンプ場となっている。
2016年4月にオープンした25台収容のこのキャンプ場は、週末になると予約で満杯となり、平日にはゆったり過ごせると訪れる客が絶えない。より良いキャンピングカーを作るには「思い切り遊ぶこと」が経営理念である当社。場内整備から建物の施工まで、全て社内のスタッフが手がけた手作りの理想郷なのだ。
建物はヨーロピアン調のデザインに落ち着きのある色使いをするなど、居心地の良さを徹底的に追求している。森に囲まれた場内は遊びの宝庫となっており、自然との調和を図りトータルバランスの高いキャンピングカーの利用シーンを提供する場として、ユーザーから熱い支持を得てここを訪れるリピーターも数多い。
2.由 来
バン・タイプの乗用車をペーストとしたキャンピングカーを製造し、昨年からキャンプサイトも運営するトイファクトリーを1995年に創業したのは白川町出身の藤井昭文社長。内装業を営んでいた父親が趣味で自家用車をキャンピングカーに改造し、よく家族旅行していたことがきっかけで自ら本業にしたのだった。
創業の地は、家でも建てようとサラリーマン時代に自ら土地を購入していた八百津町。父親の会社藤井インテリアの事業部として、小さな物置一つに父親と奥さんの3人で、月に1台の手作り生産からスタートした。皆が楽しむおもちゃを作りたい。そんな想いから社名をトイファクトリー(おもちゃ工場)と命名した。
キャンピングカーを製作するメーカーとして、95年の創業は最後発組。競合他社の多くが板金修理業や中古車屋だったのに対して、自らもユーザーとして、ユーザーの声をいかに仕様に落とし込むかを第一にして事業を進めてきた結果、年間500台を出荷する市場シェア52%のトップクラスのメーカーとなった。
3.本 題
そうした中、ずっと順風満帆であったわけではない。創業から10年の頃、生産量が増え競争も厳しくなりコストが合わなくなったことから中国・青島に工場進出した。しかし満足する品質が得られない事態となったことから、約2年で大きな損失を抱えて撤退。経営基盤が揺るぎ危機的な状況に陥ったことがあった。
工場の国内回帰を決意し各地の工場誘致策を検証する中、経済特区ができて優遇措置が得られることと輸出も視野に入れて沖縄に進出を決定。市場の小ささから心配もあったが生産量は安定して増えていった。3.11後にメーカーのラインが停止した際には、3ヶ月も工場が停止して資金ショートしそうになったことも。
苦難の連続の中でもユーザーの声を第一に、断熱効果の高い内装やメーカーとの共同開発で専用設計のソーラーパネルを搭載するなど、各方面から信頼して仕事が寄せられる地位を築きあげた。今後はメーカーと共同開発した特装車が輸出されていく他、将来はビジネスジェットの内装も手がけていきたいと考えている。
4.解 説
キャンピングカーなど、自動車関連の部品や車両を製造する中小企業は、厳しい競争環境に晒されています。板金修理業者や中古車販売店などが、競合として多数参入しており、明確な差別化が困難であるためです。
ご覧戴いた藤井社長は、利用者として使いづらさを解消したいの想いから、お客様目線で工夫を凝らし、トップシェアの地位を築き上げることに成功しました。徹底した顧客視点でこだわりの製品を作り上げ、キャンピングカーで楽しむ空間を提案し、世の中で求められる機能を提供し続けてきたことが、成功への分岐点になったといえるでしょう。
完